シルクマスクの開発秘話

↑こちらは歴代の試作たち。

ーー

弊社は普段、シルクのベビー肌着に加え、保育園の先生やビューティーサロンなどの企業様向けのオーダーメイドエプロンを作っている会社です。

3月、コロナで日本の縫製工場のお仕事が一気に吹っ飛びました。

弊社10年来のパートナー工場も同じくです。
従業員を解雇しないといけないと嘆いていらっしゃいました。

そこで、弊社にストックしていて行き場のない、シルク肌着生産で出るB品(生地を作る工程で失敗したものなど)生地を使って、マスクを作りましょうと説得しました。

B品のシルク生地
↑B品の生地、穴が空いている所以外はなんの問題もなく使えます。

コロナ禍で、皆マスクがなくて困っている中でしたので、お役に立てたらという思いで、原価度外視のアウトレット価格として限定数のマスクを販売するに至りました。

しかし、想像以上にマスクによる肌荒れで悩んでいる方が多い事を知り、すぐさま本格的な生産を行うことになりました。

ーーー

幸いにももともとマスクパターンの原型があったので、そこからの微調整からのスタートでもあり立ち上がりはスムーズでした。

 

しかし、すぐにシルクニットの素材自体の難しさに直面することに。

 

シルク生地100%ではニット生地は横に若干伸びても、戻りはしない。

つまり使っていくに連れて、だれてくる恐れがあります。

そもそも、マスクの大きさにピッタリのお顔サイズの方でしか心地よく付けることができません。

耳紐の中にゴムを包み込んだりいろいろ試した結果、最終的にはマスクの本体周りのバインダーと耳紐をひとつなぎにし、ゴムを一緒に縫い込む工夫をしました。

↑周りを囲いながら、縫い糸の中にゴムを仕込ませていきます。

 

しかしこれがなかなか職人泣かせな工程で、気を抜くと(またその日の湿度や、人が変わっても)まっすぐ縫えなかったり、縫い目が落ちたりします。

↑これも失敗です。真っ直ぐになっていないといけません

 

シルクマスクの生産

↑同じサイズのパターンでも縫い方でこんなに仕上がりが違います。

上はゴム糸の張力が強すぎ、下は弱すぎです。

 

明けても暮れても、作っては仕上がりのサイズを確かめる作業。

自粛中でしたので、

自宅と弊社の工房、福岡の量産工場でのやり取りは、画像と電話、そしてサンプルの郵送。

工場からは「夢の中にバインダーが出てきます涙」と言われるほどに苦労をさせてしまいました。

 

そしてようやく製品化できたのが、皆様にお届けさせていただきました

シルク100%フェイスフィットマスクです。

多くの方に喜んでいただけて本当に報われた気持ちになりましたし、何より皆様のご購入支援のおかげあって、工場は現在も元気に稼働されています。(まだまだ厳しいですが。)

 

 ーーーーー

このように一様の結論を見いだせた製品でしたが、実はそれからもずっと開発を続けておりました。

「コロナあやかり商売」だと言われることも、また今や市場にマスクが溢れていることもありますので、私達の役割も一段落ついたとも考えました。

しかし、依然として、いえ、前にも増すマスクによる肌荒れ。必要なものだからこそ本当に良い素材で、快適に使っていただけるものを作ることこそものづくりの姿なのではないかと信じて試行錯誤を続けてきました。

 

 そして、このたびようやく、これぞ!という究極のマスクが出来上がりました。

 

お客様から頂いたお声をひとつひとつ吟味させていただき、改良点につなげております。

正式なお披露目は来週になりますが、

つけなければいけないではなく、

「つけていたいマスク」

となるように大きくアップデートしておりますので、どうぞ楽しみになさっていただけたらと思います。

 

新作シルクマスク

 

皆様も引き続き安全にお過ごしくださいませ。

ありがとうございました。

 

TAMAMONO

店主